2009年9月25日金曜日

チャイナレイク 電子戦の開発最前線


Push For New Weapons Transforms China Lake
aviationweek.com 9 月24日

カリフォルニア州チャイナレイクにて----非運動性、高度運動性、指向性のエネルギー兵器および電子兵器のニーズにより当地の米海軍航空戦闘センターにおける研究開発活動の様相が変わってきた。「当地には電子戦、高出力マイクロウェーブならびに運動性兵器に加えて空中からの電子攻撃の環境がそろっています」とマーク・ストーチ海軍大佐は海軍航空戦闘センターの武器開発部の指揮官代行として語る。「砂漠地帯から太平洋の孤島まで各種の演習地があり、今後戦闘が予想される各種の環境を再現できます。さらに研究開発施設の拡充が進んでいます。」
「特に高地と深い谷があることが当地の利点です。」とマット・ボッグス(地上演習地施設管理担当)が語る。例を挙げると、エチロン渓谷はこれまでステルス開発の地として知られているが、今日では電子攻撃と指向性エネルギー照射実験の現場であり、谷底まで7000フィートあることから電子照射の混入を心配する必要がない。その近辺には低温の山地と森林がある一方、反対側には高温の砂漠と乾燥した水のない湖底がある。
「湖底を武器試射につかっています。G地区は空対地、空対空、ならびに地上発射武装のテスト用です。C地区はベトナム戦争後放置されてきましたが現在は無人機と短距離射程兵器用です。B地区は高速投下用に改造した通常型爆弾演習地です。」(ボッグス)
各演習地区は何百マイルに及ぶ舗装道路と高速通信網ならびに高速撮影カメラで結ばれている。そのほか各種遠隔操作移動目標を使うことも多い。米国最大の回転台が開発中止となったA-12用に建造されており、レーダー断面積(RCS)テスト地区の中にあるが、同地区は現在は指向性エネルギー兵器の開発用に使われており、高出力マイクロウェーブ、レーザーおよびGPS妨害装置のテストが実施されている。地形を生かして電磁テストの影響が外部に漏れないようにしている。GPS妨害への対抗手段の開発には放射線測定と1万ポンド搭載可能の回転台により大型車両への影響を把握できることが役立っている。この回転台は水平面から35度垂直方向に上方移動できるほか、最大5度の下方移動もできるのでアンテナの干渉問題を回避できる。このチャイナレイク施設の詳細については10月5日号のAviation Week & Space Technology誌を参照されたい。
コメント: チャイナレイクはサイドワインダーミサイルはじめ「飛び道具」の試射・開発場所として知られていましたが、相当変わってきたようです。電子戦については今後も話題となっていくでしょう。当ブログでも追っていきます。

2009年9月18日金曜日

KC-X選定を空軍に任せる 国防長官



Gates Names USAF to Oversee KC-X Procurement
aviationweek.com 9月16日

ロバート・ゲイツ国防長官はKC-X次期空中給油機の選定(予算規模350億ドル以上)で監理権限を空軍に与える。同長官が空軍協会の年次総会でのスピーチで表明した。会場から賛意の拍手が寄せられた。このスピーチの後、同長官は本件について「考えが変わった」わけではないが、空軍が今後の競争を監理する最善の組織であると確信を持っていると語った。ボーイングとノースロップ・グラマン/EADSの間で合計179機の空中給油機の受注を争うことになる。

これは空軍の調達業務の信用回復につながる大きな一歩となる。次期戦闘捜索救難ヘリCSAR-X、宇宙防衛装備調達、給油機で何回も失敗を重ねてきたからだ。給油機では二回仕切りなおしとなっており、先回はエアバスA-330が一度選定されたものの、ボーイングの抗議で政府監査部門が精査し、契約過程に問題ありと判定したため破棄された経緯がある。

今回は調達決定権限を国防長官官房に与えることも可能であったし、事実ゲイツ長官はオバマ大統領から国防長官職に再任命される以前に官房中心の調達方式を検討していた。

国防長官のスピーチを受けて空軍長官マイケル・ドンリーは声明を発表し、提案競技仕様書ドラフトが近日中に「発表可能となり、提案者に検討する時間が十分取れる」見込みとした。正式な仕様書がその後は交付され、契約成立を2010年と予定する。KC-X初号機は2015年の引渡しが予定されている。「空軍は本日の長官発表を歓迎し、空軍が契約業務の中心となることに自信をもっている」とドンリー長官は表明した。

2009年9月14日月曜日

気になるF-22関連の動きと2010年度国防予算(上院)

Senate panel seeks end to F-22 export ban

ロイター9月10日配信


上院委員会が9月10日、輸出型F-22の開発を空軍に求めた。同機に関心を示す国は日本、イスラエル、オーストラリアの各国だが、海外向け販売は1998年法案で禁止となっている。上院歳出委員会で上程の法案が通過すると、国防総省が極秘情報・高度技術ならびに米軍の戦闘能力水準を秘匿したままF-22改造型の開発を進める道が開ける。


同法案に添付の報告書では「本委員会は空軍に対し研究開発試験評価費として歳出済みの予算を利用してこの努力を開始することを求めるもの」としている。これに対し、ロッキード・マーティンも空軍はいずれもコメントを出していない。輸出型の開発が可能となると米国内の雇用が確保され、米国にも必要であれば高額な生産再開コストを支払わずに追加購入が可能となる。

米空軍の見積もりでは日本向けラプターの開発費用総額は23億ドル。日本が希望するのは2飛行隊合計40機の購入。北朝鮮との緊張から現実味を帯びた要望といえる。同法案は質疑応答なく15分間で賛成30反対ゼロで可決された。

【2010年度国防予算法案】 さらに、委員会ではオバマ大統領の国防計画見直しを支持して6,363億ドルとする2010年度国防予算(10月1日より)を可決。このまま次年度予算が本会議を通過すると戦闘捜索救難ヘリコプター、大統領専用ヘリコプターならびにミサイル防衛のうち運動エネルギー迎撃機構想が中止となる。総額のうち1282億ドルが「海外緊急作戦」用で、主にイラクとアフガニスタンの戦闘を想定したもの。

F-22に関しては総生産187機を上限で生産停止するが、冷戦期の空軍計画では750機の調達を見込んでいた。ゲイツ国防長官は4月にF-22生産終了の案を発表しており、各軍はイラク・アフガニスタン型の戦闘に備えた準備にいっそう向かうべきという。

【F-35代替エンジン】  議論の的のF-35共用打撃戦闘機用の第二番目のエンジン予算は盛り込まれず。オバマ政権はこの代替エンジンを予算の無駄とし、ホワイトハウスからは盛り込んだ場合は拒否権を行使させる罠と見られていた。下院では5.6億ドルで開発が承認済みである。メーカーのGEとロールスロイスは上下両院協議で同エンジン開発の承認が下りることを楽観視している。一方、上院歳出委員会委員長兼国防省委員会委員長のダニエル・イノウエ議員は報道陣に対し第二エンジンの行方はわからないと語っている。

上院の決議はライバルのユナイテッドテクノロジーズ傘下のプラットアンドホイットニーにF-35純正エンジンメーカーとして推定1000億ドルの商談の独占を一歩近づける。F-35には三つの基本形があり、とりあえず11カ国で導入されるためエンジンおよび今後の部品販売の規模が大きいものであることが問題だ。

【C-17では大統領意向に背く】 一方、上院委員会はオバマ政権とボーイングC-17を巡り反対の意思を表示した。25億ドルの追加予算で生産ラインを維持し、2010年度内に10機の追加購入をする。政府は追加購入なくC-17を終了させる意向。下院は6.74億ドルでC-17を3機追加購入する案を通過ずみ。

【今後の上程日程】 上院本会議での国防予算法案投票の後、上下両院の代表が会合し、各通過法案を調整した後、ホワイトハウスへ送る。両院協議は今月末の予定。

2009年9月12日土曜日

それでもF-22をあきらめない日本


Japan Still Eyes F-22
Aviation Week & Space Technology 9月7日号


新政権が過激な変化、短期的な変化をもたらす可能性は低い。

民主党による新政権にはかつて自民党所属議員が多数含まれると見られ、ワシントンは過激な政府運営の変化を予測していない。総選挙前の取材では米政府関係者は日米関係の変化は基本的に肯定的なものとなると見ていた。「日本との同盟関係に変化が出てきました。その一部は日本の国防で必要な能力は何かを日本が議論していることから生じています。同盟国として相互にリスクを受け止め、一方が保有していない能力を提供する必要があります。」(エドワード・ライス米空軍中将 第五空軍司令官)

同中将の言っているのは日本がロッキード・マーティンF-22の取得を希望していることで、同機の持つ速度、高度、ステルス性、精密爆撃、長射程電子偵察能力で日本南西部の沖縄での既存装備の能力不足を補いたいとするもの。ただ、F-22生産ラインは日本への同機販売が承認される前に閉鎖の可能性がある。生産終了となると日米両国にとって日本向けのステルス戦闘機の調達が課題として残る。航空自衛隊幹部への取材の結果、F-22部隊が米国所属であれば同機の性能を活用した即時運用、効果のある運用が困難と日本側が考えていることがわかった。特に米空軍が日本国内の基地に同機を駐留させてもF-22の持つ戦略的な意義が減じてしまうと見ている。米側は日本防衛にF-22が利用可能とする。ライス中将も両国の能力ギャップを最小限にするため装備体系の変更が必要と認める。「米国はF-22の持つ性能を日本に提供できます。この性能を日本が持つ必要はない。第五世代戦闘機のみで構成する空軍力を実現するには別の方法があるはずです。」

一方、日本を長年にわたり担当しているある情報機関関係者は次のように見ている。「日本は地域内の脅威を非常にはっきりと認識しています。(米国と違って)機敏です。ただしローテク戦闘があちこちで頻発しており、日本の分析は集中を乱されています。憂慮すべきは当然としても北朝鮮については長期的には脅威度が減るでしょう。日本経済が最悪の状況を脱していきますから、米国の軍事技術を応用する希望が高まるでしょう。それ自体は悪いことではありません」

日本の中長期的な防衛方針と米国のQDR(四年周期の防衛体制見直し)との整合により、量億の考える防衛体制と安全保障体制に変化が生じよう。日本の政権は変わるが「当分は両国の間でうまく対応できると思います。地域的にも世界的にもいっそう関与を高めていくという日本の決意は重要です。今後もその方向で決断をしていくでしょう」(ライス中将)

コメント 上院には輸出型F-22の開発を進めるよう圧力をかける動きがあり、別途まとめてご報告しましょう。日本ではF-22への片思いは成就しないとあきらめている動きがありますが、航空自衛隊は違うようです。まだまだ当分は目が話せない話題です。

2009年9月10日木曜日

F-35Bの垂直着陸テスト予定


F-35BTo Restart STOVL Tests
aviationweek.com 9月9日

ロッキード・マーティンはF-35B共用打撃戦闘機の飛行テスト機BF-1が9月4日に飛行に復帰したことで初の垂直着陸のカウントダウンを再開した。

短距離離陸垂直着陸(STOVL)を行う初の機体となるBF-1は初回の飛行とボーバーピットでのテストの結果を受け改修のため長期間飛行ができない状態だった。

BF-1はフォートワース(テキサス州)で飛行を実施するが、STOVL用のドアを開き、リフトファンを飛行中に始動し、飛行制御ソフトウェアの作動状況を確認する。 その後同機はパタクセントリバー海軍航空基地(メアリーランド州)内の海軍テストセンターに移送され、STOVLの「ビルドダウン」テストを行った後、初の垂直着陸を10月に実施する予定。

二号機BF-2は空中給油テストに成功しており、フェリー飛行が可能となった状態が確認されたので地上で最終仕上げに入っている。同機は今週にホーバーピット入りし、飛行再開の準備が始まる。

BF-3(三号機)の地上テストは延長になっているので、次のF—35で飛行を予定されるのは生産型とほぼ同一の通常型離着陸機AF-1とSTOVLテスト機としては最終のBF-04となる。

コメント: それにしても格好の悪い飛行機ですね。どうしてもF-35は好きになれません。ただ実用化されるとSTOVL性能は日本の関心にもかなうかもしれません。海上自衛隊の新型「護衛艦」との組み合わせも考えられないことではないでしょう。

2009年9月9日水曜日

MV-22 オスプレイの運用実績


Marines Are Satisfied With MV-22
aviationweek.com 9月8日

米海兵隊はベル-ボーイングMV-22オスプレイ・ティルトローター機の運用で先行している。一方米空軍特殊作戦軍団(Afsoc)もCV-22の運用実績を着実に増やしている。

【外部からの疑問】 海兵隊は同機の費用対効果で批判を受けている。会計検査院(GAO)の報告書では「同機の運行効率と適正度の問題が解決されておらず」としている。しかし、海兵隊は同報告書に反論。「GAOにはすべてを公開してきたが、それでもこの報告書には肝心の点が漏れていると思います」(ジョージ・トラウトマン海兵隊中将、海兵隊航空部隊副司令)同報告書はこれまで20年間以上に及ぶ同機の開発を総括しながら、同中将によれば、海兵隊により解決ずみか取り組んでいる課題も問題の一部として挙げている。

【議会の動き】 議会では同機への支援は依然高い。ジョン・マーサ議員(民主、ペンシルバニア州)は下院歳出委員会国防小委員会の委員長としてキャンプ・レジューン(ノースキャロナイナ州)へ飛び、MV-22の「真実」を求めようとした。「海兵隊はMV-22の運用に非常に満足しています」(マーサ議員)

【稼働率】 海兵隊がMV-22の戦闘運行稼働率をイラクで62%から引き上げようと奮闘している一方で、Afsoc関係者は昨年の実績で74.2%と報告している。Afsocの数字は93ソーティで延べ314飛行時間をフリントロック演習がアフリカで展開された際のもの。MV-22はイラクへの三回の展開で合計55,000時間を飛行している。同機の信頼性と整備性は「期待水準に到達していない」とトラウトマン中将は語る。

【運行コストが高い】もうひとつの問題はMV-22の飛行時間あたりコストが急上昇していること。2009年度は一時間5,362ドルの予測だったが、実際は119%高い11,748ドルだと、下院軍事委員会海上戦力・派遣部隊関係小委員会向けの書簡が示している。この原因のひとつが同機の修理費用。

【ほかにも問題あり】 そのほかの問題の例を挙げると、MV-22のピッチコントロール用のベアリングで、機体寿命と同期間使えるよう設計がすでに磨耗が見つかっているとマット・マルハーン大佐(前MV-22計画主査)は語る。また、エンジンの空気・粒子分離機(EAPS)の不調から現在の油圧式から電気式に交換できないか関係者が検討している。EAPSの不調とエンジンの磨耗・損傷に相関があることが判明している。短期的には空気取り入れ口にある羽根でEAPSへの空気の流れを整流することが期待されている。

また関係者はエンジンナセル内の合計85箇所の配線束の改修に取り組んでいる。水蒸気に含まれるほこりが配線表面上から配線内部に摩擦を生じていることが判明した。

【電子戦ほか兵装】AfsocはCV-22の訓練・運用で実地経験をつんできた。装備の中には無線周波妨害装置(Sirgc)があり、複雑な機体防御装置でその開発の難易度からかねてから注目されていたもの。ただし、デイル・リナフェルター少佐(Afsoc所属)によると同装置は順調に作動し、各種の電子戦を想定したテストに使用中。フリントロック演でCV-22にM240銃も搭載された。Afsocでは50口径銃をCV-22で使う訓練も行っており、機体側面からの射程距離は両方の装備で優れている。

【救難ミッションへの投入】海兵隊MV-22がはじめて艦から陸上に医療搬送するミッションを実施した。6月29日、海兵隊はMV-22Bを2機投入し、USSバターンで負傷した水兵を救助した。同機は着艦し、患者・医療関係者を37分で147海里を飛行し、飛行場に着陸して患者が病院に搬送された。もともとオスプレイは海兵隊員を安全・迅速に戦闘区域に運ぶべく配備されているが、今回の救難ミッションで戦闘捜索救難(CSAR)ミッションへの投入が注目される。ティルトローター機は空軍のCSAR-X候補で最も有望と見られていた。(CSAR-Xは現在のところ開発中止)だが、ティルトローターはあまりにも高価なため最終的に選定から外れた。国防総省がCSARミッション全体の見直しを命じており、V-22が再度候補となる可能性がある。

【アフガニスタン】 オスプレイのアフガニスタンへの投入に関心が集まっている。柔軟性に富む機体で高温下の高地で作戦を展開するニーズが高まっており、ヘリコプターのほとんどがこの要求を満たせない。海兵隊はMV-22がこのミッションを実施できると考えている。「南部で兵力が分散している南アフガニスタンはオスプレイにうってつけの場所です。ほかの機体では不可能な役目をオスプレイが実施するのを目撃できるでしょう」(トラウトマン中将)

2009年9月7日月曜日

核抑止力の見直しを進めるアメリカ

U.S. Rethinks Nuclear Strategy
aviationweek.com 9月3日


オバマ政権下の国防力見直し(QDR)と平行して進行している核兵器体系の見直しによってこれまで長く結論の出なかった二つの計画にゴーサインが出る可能性が出てきた。次世代のミサイル発射用潜水艦(SSBN)と新設計の核弾頭である。実現すると核抑止力が長年にわたり軽視されてきたと杞憂してきた核兵器関係者には朗報となる。この間にフランス、英国、ロシア、中国は米国を上回るペースで核兵器の近代化を進めてきたからだ。

「この二十年間で一番よい話です。国防総省では戦略抑止力に相当の時間を投入してきましたが、まるまる一世代がこの話題を避けてきました。わが国の理解力は進展がなくなり、気がつくと崖っぷちにおり、あまりに長くこの崖にいたのです」(ケビン・チルトン戦略軍司令官)

オバマ政発足時は核兵器に関しては「数量、任務、重要性」のいずれも縮小する意気込みで、ロシアとの兵力削減交渉を再開し、不拡散を改めて重視し、核実験禁止・核分裂物質の規制で実現しようとした。

ただし政府のアクションでは対応できない新しい核の問題があると危惧の声を上げる核抑止論の研究者がある。ジョン・ハムリ(前国防次官・現戦略国際問題研究所長)がいみじくも「米国では核は使えない兵器と考えている。しかし世界の多くの国が使用可能と考えているのだ。」と言う。

実際そのとおりだ。ロバート・ヘイワード海軍中将(合衆国統合軍副司令官)が昨秋に実施された5日間の模擬戦ゲームの内容を解説している。実現可能性のある事象を取り入れている。新興核保有国が戦術核兵器の使用に踏み切る。核兵器の最初の選択ではないが、最後の手段でもない。その結果「核兵器の存在が戦闘部隊運用を麻痺させる」

フランク・ミラー(ジョージ・W・ブッシュ政権下で兵器管理専門家を務める)が追加する。「イランと北朝鮮は米国の核兵器を抑止する目的では自国の核兵器を使わない。むしろ、米国の通常兵力を抑止する目的で使うだろう」

ならず者国家や新興核保有国だけが核兵器を開発しているのではない。ロシア、中国ならびに両国と国境を接する「新規保有国」の三カ国はそれぞれ核運搬手段と新型弾頭を開発中だ。今年後半にフランスは核実験をせずに核弾頭を配備する最初の国となる。まず、空中発射ミサイルASMPにTNA弾頭を配備する。潜水艦発射のM51ミサイル用のTNO核弾頭が来年に登場する。国内で議論の結論が出ていないが英国の核弾頭開発方針(核実験を伴わない)と新型ミサイル潜水艦開発は同国の政策として既定路線だ。

そこで米国も核兵器体系の見直しをしている。クリントン政権は核実験を1996年以降中止し、エネルギー省の各研究施設に貯蔵済み核兵器の信頼性を評価させ、核実験を必要としない新型核弾頭開発方法を研究課題として与えた。これは実施済みで信頼性の高い新型弾頭(RRW)の開発のめどがついたとしているが、議会がこの開発予算支出を何度も否定している。

RRW開発に反対の論拠は弾頭の老朽化が過大に強調されており、プルトニウムの寿命は事実上無限だとしている。ただし研究施設関係者はこの主張に同意していない。核弾頭ではプルトニウムの「穴」から低水準放射線が時間をかけて全体に影響を与えていく化学構造だという。

ただRRW開発にも利点があるとすれば、それは確実性である。核兵器維持にかかる巨額の費用の中には事故と盗難防止関連が含まれる。だが、もし核爆弾の安全性を向上できたら(例 起爆剤の感度を下げる)または事実上盗難されても使用不可能となれば、取り扱いが容易になる。

この点で英国が先行している。2005年の時点でリヴァモア武器開発部長ブルース・グッドウィンが英国の核開発は「活発」で核実験禁止条約に準拠した弾頭の作成をめざしていると語っている。同部長は英国が力を入れているのは「こざっぱりとした」爆弾正式名称は高確実弾頭というもの。英米協力がそれ以前より密接になっているとも話している。2008年後半よりAWEマネジメント(英国内の研究施設を運営)はロッキード・マーティンおよびジェイコブスエンジニアリングが各3分の一株式を保有し、米国系の企業となっている。

抑止兵力装備の新体系には通常兵器装備の弾道ミサイル(CBM)もある。「短時間で目標に到達する兵器システムはこれまで核兵器しかなかった」とカートライト海兵隊大将(統合参謀本部副議長)は語る。「敵は当方がそれを使用するだろうと考える点で意味がある」とユージン・ハビジャー空軍大将(退役)は言うが、CBMに1,000ポンドの通常弾頭をつけて数メートルのCEP(誤差半径)があれば50キロトン核弾頭と同じ効果があるという。

CBMについてハビジャーは「すごい発想だ。海軍は試算して5億ドルあればCBM100基を調達できるとしている。しかし、戦略軍司令部は各地域司令官を巻き込んで国務省長官、国防総省長官にこれが必要だと説得してきれていない。これでこの構想が消えるのは残念だ」

それでもカートライト大将が注意を引いているのはCBM(トライデントミサイルに通常弾頭を装備)は実戦配備までに18ヶ月あれば十分としている。さらに「四ヶ月あるいは五ヶ月」のテストを実施すれば発射ミサイルが核弾頭つきなのかどうかの問題は解決できるという。

CBMは別の重要問題の答えにもなる。その問いとは核兵器が生物化学兵器の脅威に対する抑止力として機能するか、というもの。ハムリは化学攻撃で死者1、000名が発生したとして核弾頭の使用は確実な選択といえるかと問い、「自国内で意見が混乱している状況がベースで政策を立てても役に立たない」と言う。

2009年9月6日日曜日

QDRに見る米国防力の今後の方向性

QDR Is Beginning To Show Results
aviationweek.com 8月4日


QDR(四年毎の国防体制見直し報告書)から部隊構成ならびに運用能力の両面から大きな変化が読み取れる。これを「方向性で高Gの変化で、高Gで痛みが生じる」と米空軍の関係者が表現している。さらに、規模を縮小して再編する方向で検討中の多機能部隊の費用が今後5年間で500億から600億ドルと見積もりが出ており、2015年度まで実質予算増なしと言う目標があやうくなっている。国防総省による分析では分野によっては予算増が見られると、デイビッド・オクマネック国防副次官補(国防力計画担当)は語る。長らくランド研究所で調査に携わった同副次官補はQDRの中枢にいる。QDR提言が採択された場合の米国の国防力の評価を尋ねられ、オクマネックは以下回答した。「朝鮮半島での戦闘とイランへの対応を同時に実施する兵力は十分にあるだろうと思います」

この例としてF-22部隊は186機で調達打ち止めとなる見込みである。(187機のうち1機が墜落事故で全損しているため) 「F-22は両方の戦闘で同時に必要ではありません。規模の大きい方に投入すべきです。その他の装備の近代化が計画通り進行すれば、とくにF-35が装備されればその他の地域内の脅威に適切に対応できます。」(オクマネック)

米空軍中将ハリー・ワイアット3世はオクラホマ州判事を務め現在は州軍航空部隊の司令官である。同中将はF-22の生産継続を唱えていないものの、州軍部隊に空軍第一線部隊と同じ装備で訓練を課すべきと主張している。また、予備役部隊が長期の戦役では部隊交代が発生するため重要な役目を負うという。 巡航ミサイル迎撃含むF-22の機能は必要不可欠だ。そのほか、高度65,000フィートでの作戦行動、超音速巡航ならびに小型ステルス目標の捕捉能力、センサー統合、見通し線外通信、高機能レーダー装置があげられよう。

「だからといってF-22がもっと必要だと言うつもりはない。性能には関心があるが」と同中将は言うが、予備役及ぶ州軍でも同じ性能が必要となる日がすぐ来る。同中将は第四世代戦闘機が当面はニーズを満たしてくれると言うが、F-22が搭載するような第五世代センサーがついていればの話だ。

F-22のような高性能機を州軍で使用するのは理解できる。というのも実戦で同機が使われるのは平均的なパイロットであれば二回か三回程度だろうからだとワイアット中将は語る。しかし、継続して戦線に配備される状態が続くのであれば州軍には適さない。作戦能力を高く維持しながら州軍に向いているのは無人機の運航だ。ノースダコタ、テキサス、ネバダ、ニューヨークの各州軍がすでにこの任務についている。

将来の国防力はかつては二つの大規模戦闘を同時に実施する戦略と同じと表現されていたが、「この二つは違うものだ。時間とともに変化する戦闘規模に対応できる多面的な戦闘能力を維持したいと言う希望がある。それがあれば時が変わっても課題の多くに対応が柔軟にできる。」とワイアット中将は言う。

ただし、これまでのQDRが使えなくなったのも、混乱を招いたのも時の変化である。

「作戦展開のテンポを間違えることで、作戦と保守点検費用の予算を削りすぎたのは避けることができなかった。一方、将来の分析とシナリオを間違えて誤った指針を国家指導層が作るのは避けることが可能だ。」(オクマネック副次官補)

「大規模長期間にわたるプロジェクトが予算等資源を大幅に消費する。この国には60個編成の旅団規模戦闘チーム、空母戦闘群が11、前線基地に戦闘機部隊20編成が必要だ。しかし、戦闘終了後の治安安定作戦に戦力が消費されているのが現状だ」(オクマネック)

今回のQDRの焦点は予備役および州軍の人員と装備の利用方法改善のほか、、アフガニスタンとイラクで分散している部隊活動への支援、各軍の強みをうまく生かすためのバランス再配分、宇宙空間利用の通信技術による地球規模での支援、宇宙空間での監視能力強化、また衛星群の生存性をハイテク戦で以下に確保するかの極秘計画が中心。

その場合の選択肢のひとつに艦船あるいは高性能航空機から発射の対衛星兵器の開発に加えて電子戦対応、サイバー攻撃がある。

傾向として陸軍は今後はいっそう特殊作戦、対暴動、対テロ作戦に特化させ、空軍と海軍はハイエンドの「アクセスを阻害する」脅威に対応を迫ることになるだろう。

「ローエンドでは現場部隊はISRとしてプレデターおよびリーパーの増強を希望している。一方、垂直離着陸機は高い買い物だ。ハイエンドでは専門人材のニーズが高い、たとえばサイバー戦要員だが、これも簡単に手当てできない。」(オクマネック)

「実力のある人材は恒常的に不足している」(オクマネック)のは事実だ。

2009年9月4日金曜日

E-2D取得に関心示すインド海軍


Indian Navy Mulls Northrop Advanced Hawkeye
aviationweek.com 9月2日

先月の米国政府による輸出審査結果を受けて、ノースロップ・グラマンはE-2D性能向上型ホークアイ空中早期警戒管制(AEW&C)機の商談をインド海軍と行えることになった。インドは同機合計6機の要望を出しているといわれる。

米海軍のジョン・ボーリューがインド海軍向けに延べ8時間のプレゼンを行い、E-2Dの技術諸元を説明した。これは昨年にインド海軍から同機の情報開示の要望があったことへの対応。

「両国政府の共同体制はこれまでになく密接です。インド海軍向けに初期段階のブリーフィングをすべく当地にやってきました」(ボーリュー) 

インドは長年にわたりAEW&C能力獲得に関心を示してきた。「相互共通運用は大変大事な要素です」(ボーリュー) 「この早期警戒機が空中にあればとても有益ですが、自国部隊だけでなく世界の同盟国舞台と通信ができなければ役に立ちません。インドが米海軍やNATOとデータリンクを通じて共同部隊運用を希望するのなら、この機体はその要望にかなうものです」

ノースロップは同機の陸上基地運用型提供を求められている。インド海軍の運用機はスキージャンプ発進能力が必要とされ、通常型のカタパルト発進はないため。

現在のところ、陸上基地からの運用が最も実現性が高い。冷戦時代の遺物の元栄海軍空母ヴィラートは退役間際であり、ロシア空母アドミラル・ゴロシコフの引渡しは延期されている。

E-2D用に開発されたAN/APY-9レーダーはイージス戦闘システム搭載の水上艦艇と協調して巡航ミサイルの補足、追跡、攻撃が広範囲で可能であることに関係者は注目している。
インドはすでにP-8I長距離海上監視偵察機合計8機を発注済で、老朽化の目立つツボレフTu-142M海上監視ターボプロップ機を代替させる予定。

2009年9月1日火曜日

ジョイントSTARSの行方



Joint STARS Eyed As Budget Victim
aviationweek.com 8月28日


議会が9月に会期を再開すると、国防予算を巡る論戦が再度活発となり、E-8C共用監視目標攻撃レーダーシステム(JSTARS)の性能改修が予算削減の対象となり大鉈を受ける可能性がある。地上監視を目的とした同機は来年の夏よりアフガニスタンに投入される予定で、これはリアルタイムの空中監視システムで荒れた土地の上で人員を追尾できる能力が必要という現地の要望にこたえるもの。しかし、JSTARSを高地航空基地で運用するには機体、エンジン、センサーの改修が必要で、岩だらけのヒンズクシ山脈で情報収集・監視・偵察(ISR)任務を実施するのは難易度が高くなる。さら現地では人員は徒歩で移動しており、JSTARSの想定する車両移動は見られない。

【改修の中身】 近代化改修には旧式PW-TF33-102Cエンジンを新型PW-JT8D-219に交換することもある。新型エンジンで推力の増加以外に、発電容量も増え、追加センサーに供給される。搭載済みのAPY-7フェーズドアレイレーダーはソフトウェアの改修で小型・低速移動の目標が追跡できるようになる。また、エンジン換装でJSTARSの強力なレーダーが高高度で運用されることで情報集能力が改善されると期待される。新規装備のSYERS III(シニアイヤー電気光学偵察システム)はもともとU-2用に設計されたが搭載されなかった装備で、多重スペクトラル検知およびフルモーションビデオ画像が利用できるようになる。JSTARSはレーダー画像のみで武器投下を指令することはない。目標の画像イメージが必要となるが、レーダーとSYERS IIIを同じ機体に搭載することで迅速に視覚的識別が可能となるとJSTARSはいっそう手ごわいリアルタイムの戦闘航空機となる。

【先行きは不透明】 改修装備でこれだけの性能向上となる一方で、空軍は地上監視データの収集戦略の再考を進めており、JSTARSの今後は不確かなものになっていると、業界および政府関係筋が認めている。ゲイツ国防長官は問題を抱える計画の取り消しあるいは棚上げになんら躊躇しておらず、厳しい財源と変化する国防ニーズを考慮して想定される効果について厳しい質問を投げかけている。E-8Cの新エンジン開発は進んでいるが、調達予算の承認は凍結の様子だ。JSTARS部隊のエンジン換装の決定はひいては地上移動目標表示(GMTI)についてこれから出てくる研究結果次第。「空軍がGMTI能力を放棄することはない」とマーク・シャックルフォード中将(調達担当)は語るが、この研究内容の検討が来年から始まり、必要となるGMTIの種類および内容を明確化していくと、今後開発するべきセンサーの技術的な要求内容を左右することとなり、装備を搭載するのに最適な機体も判明する。

【KC-Xとの関連】 JSTARSは中古707を改装したもので腐食問題が深刻な機体もある。このため、空軍はJSTARSの機体寿命延長と新型機種導入の費用比較検討をしている。ボーイング767かエアバスA330のどちらかになると見られるが、空軍向けの次期空中給油機の機種選定がひとつの契機となり、検討用の機体となるだろうし、次世代のGMTI収集、情報収集機の候補となることも考えられる。

写真  古色蒼然たる707の改造とは外見上は見えないE-8Cの機体とGMTIのサンプル画像。対テロ戦では能力を持て余しそうですね。本ブログではISR機材の重要性を強調し、ニュースを追っています。