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USAF 先行きが心配な新型機開発計画

U.S. Air Force Programs Face Challenges
aviationweek.com 10月 2日

QDR(四年ごとの国防力見直し)で空軍の各開発プロジェクトと空軍力全般をどう扱うかを巡り空軍関係者は不安感を隠せない。ゲイツ国防長官は空中給油機選定の権限を空軍に戻す譲歩を示した。一方、同長官は予算編成方針で不正規戦闘が重視されていることを認め無人航空機他の通常戦装備増強には不利となったことへの同情の意を示したが、「年間175百万ドルを不正規戦闘用予算に計上したところで軍全体の装備近代化には影響は全然ない」とも言及した。装備近代化で突出した規模の計画は二つある。空中給油機と共用打撃戦闘機(JSF)である。

【KC-X】 給油機については政治的に墨がついた前回の競争提案の繰り返しをいかに避けるかと言う点が関心の的だ。前回2008年にはノースロップ・グラマン/EADS連合の採用決定に対してボーイングが抗議している。そこで今回は提案協議仕様書(RFP)の作成で留意してボイコット、抗議のいずれも発生しないようにすることが最初の一歩だ。

ただし、RFPの作成部門は競合各社の提案内容がわかっている。仮にRFPが具体的になると、大型・中型・小型いずれかの機体に有利との誹謗中傷を招き、逆に具体性を欠くと、今後はあいまいすぎるとの非難をあびることになる。

【JSF】 JSFは空軍にとって重要だ。ゲイツ長官、シュワルツ参謀総長ともに同計画の進展に高い自信を示しており、ゲイツ長官は繰り返し、JSF計画により「中国が第五世代戦闘機の一号機を配備する時点で空軍はF-22とF-35合計1,000機を運用できる」としており、同戦闘機のテストに追加500百万ドルを2010年度予算に計上するとしている。このことからQDRはJSF開発の進展度合いを評価しているのではないかと思われる。

JSFの推進以外に空軍には代替計画がない。F-15C/DおよびF-16の近代化改装で機体寿命を延長する策もあるが、抜本的な改装がないと各機体の構造的な限界から戦闘部隊がかなり減少することにもなりかねない。

今後の退役機数を補うべく年間80機以上となるF-35の生産規模から考えるとJSF予算のわずかな変動が空軍予算全体への大きな影響を与えることがわかる。そのため、ペンタゴンによりJSF開発の進捗に対し半ば独立的な視点を期待されて設立された合同評価チーム(Joint Estimating Team, JET)への関心が高まっている。JETによる調査の第一回目は昨年のことで、運用テストの完了が2年予定より長くなり、コスト上昇と生産ペース低下を招くだろうとの内容だった。これは関係者からの冷笑を招く結果になった。

ただし、JSF開発の副主任C.D.ムーア少将が記者団に対しJSFのフライトテストの現状を説明した際にテスト用機体の納入が昨年よりも6ヶ月から9ヶ月遅れている点が明らかになっている。計画管理統括事務所はこれに対して12-12-12だとしている。つまり、12ヶ月以内に(2010年9月まで)テスト機材合計12機を利用可能にし、月産機数を平均12機にするのだという。

しかし、これだと2010年度に12機をテスト場に納入することになるのだが、過去2年間の納入機数はゼロである。2010年度に新造機12機を納入することは、過去2年間に2機が飛行可能となっていて実現する。(テスト用に未完成の10機と低レート初期生産型のF-35Aが2機必要) そして目標である12ヶ月以内を実現するには一ヶ月150回の飛行が必要となるが、第一号機AA-1がこれまで三年間に実績として飛行した時間を50%上回るペースである。

その結果でワシントンの高レベル関係者に懐疑的な声が高まっており、JSF開発の遅延とコスト上昇の結果、予算が制約される環境の今日、空軍のどの計画がしわ寄せを受けるかが関心の的となろう。

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