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お知らせ

ターミナル1にオバマ次期政権におけるビジネス航空、航空管制への影響についての観測記事をviation Weekより紹介しましたので、ご関心の向きはご覧ください。

F/A-18合計2千機のシステム改修

AW&ST 電子版 12 月 24 日 ボーイングは合計 2 千機の F/A-18 各型、 8 カ国で稼働中の機体のミッション・システムの改修契約を総額 9.053 億ドルで米海軍から獲得した。 F/A-18 A/B, C/D, E/F および EA-18G 各型の米国、カナダ、オーストラリア、スペイン、クウェート、スイス、フィンランド、マレーシア各国で運用中の機体は 2013 年 12 月完了予定の性能向上改修を順次受けることになる。今回のアップグレードは同型機を「今後 30 年間に出現する脅威に立ち向かえる」(ボーイング社スポークスマン)地位にとどめるためのもの。 今回の受注はボーイング社には大きな意味を持つ。同社はこれまでロッキード・マーチン F-35 共用打撃戦闘機やサーブ・グリペン NG を待つ米国および同盟国空軍には F/A-18 がつなぎとなるばかりか代替選択肢となると宣伝してきた。オーストラリア空軍、米海軍、米海兵隊がそろっていわゆる戦闘機ギャップをどうやって埋めるかで頭を悩ましてきた。 ボーイングはミッション・システムの改修をソフトウェア、ハードウェア両面から進める。その中には分散処理による目標設定プロセッサ やアクティブな電子スキャンを使うレーダーの改良が含まれ、改修効果が相乗効果を生むと同社は語る。 改修作業の 95 %は同社セントルイス工場(ミズーリ州)で実施、残りは海軍航空戦闘センターのウェポン部門(カリフォルニア州チャイナレイク)で予定。後者は今回の契約管理部門でもある。これだけの大規模契約であるが、予算は会計年度を繰越できないことになっている。 コメント : なかなかしたたかなビジネスです。新鋭戦闘機は当分ものにならないので、現有機の性能向上で運用能力の維持向上ができますよ、ということですね。こうなると、F-35等次世代戦闘機の導入がまた一歩遅れることにもなりかねません。F-35はお世辞にも美しい機体ではありませんので、当初は批判を受けながら順次成長してきたF/A-18(この表記をする機体も同機が最後?)の魅力的な姿が当分見られるのはうれしいことです。

空母運用に向けて準備進むX-47B

AW&ST 電子版 12 月 18 日 カリフォルニア州パームデール発 ---- ノースロップ・ グラマンと米海軍はX -47 B無人戦闘航空システム(UCAS) 実証機用に、 航空母艦の飛行甲板あるいは空中から同機を管制する制御装置、 視覚上の工夫、コンピュータ・ プロトコールの一連のデバイスを開発中。 その一部が 12 月 16 日に当地の同社施設でのX -47 Bロールア ウトで発表された。飛行可能な機体第一号AV -1 は 2009 年 1 1 月 11 日に初飛行する。二号機AV -2 は 2009 年 12 月に完 成予定。両機で無人戦闘航空機の空母運用の可能性を実証する。 初飛行後は一年間の性能限界向上テストをエドワーズ空軍基地( カリフォルニア州)で行い、 その後パタクセントリバー海軍航空基地(メリーランド州) に移る。カタパルト発進テストをレイクハースト海軍航空技術部( ニュージャージー州)で実施後にノーフォーク(バージニア州) でニミッツ級空母に搭載され、 2011 年 11 月に洋上の空母着艦 試験で終える。使用する空母はハリー・S・トルーマン(CVN 7 5 )を予定。 空母運用の適合性試験では無人機の空中・ 艦上での管制方法を評価する。 UCAS部隊関係者は飛行甲板上で「イエローシャツ」 と呼ばれる航空機運用関係者の後ろにたち、 リモコン装置で同機を操る。 イエローシャツの役目は混雑した空母上で円滑な運用と安全の確保 。標準的な空母の飛行甲板上に 12 人から 15 人のイエローシャツ がいる。 X -47 Bの状況は機首車輪に装着のライトの組み合わせで飛行甲 板乗員に表示される。緑のライトは甲板要員が同機を制御中、 青は同機がミッション要員の制御下にあること、赤は障害を示す。 UCASは空母への接近・ 着艦を自動で行うがその際に利用するのが共用精密接近着艦システ ムの母艦連動GPS着艦システムである。 UCASも着艦信号士官(LSO)が飛行士の経験を生かし、 最終接近で視認責任を果たすことになる。 アプローチが正しくない、 あるいは着艦位置が不明の場合にはLSOはインターロック・ スイッチを入れて着艦を「拒否」できる。 このスイッチでデジタル信号をUCASに送り、出力増で一気に 1 200 フィートまで

F-22のデータリンク改修の方向性

AW&ST電子版 12 月 19 日 米空軍はF -22 向け次期改修作業の要求内容を準備中で同戦闘機 にF -35 用に開発中のステルス性のあるデータリンクを装着する 。「F -22 の兵器システム開発の性能向上フェーズは 3.2 改修 で、多機能高度データリンク(MADL)能力の確保を含みます」 (ロッキード・マーチン) 同社は 3.2 改修作業の開始を控え、 高度データリンク装置の選定を待っている状態。改修は 2012 - 13 年にかけて実施される。ノースロップ・ グラマン製のMADLがロックウェル・ コリンズの戦術目標ネットワーク技術(TTNT) によるデータリンクを押さえて採用されている。 MADLは米軍のF -22 、F -35 、B -2 で構成の「 アクセス不能」部隊を束ねるべく採用された。 さらに海軍が開発中の無人戦闘航空システムも含まれる可能性があ る。F -22 にはすでに航空機間データリンク(IFDL) が装備されているが、同装置の性能には限界がある。 F -22 にMADLを装着するためには無線装置の更新、 現行IFDLアンテナのMADL用改修、また「 部隊間メッセージの統合処理のためのソフトウェア」( ロッキード・マーチン)が必要となる。空軍は当初 3.2 改修の対 象をF -22 のうち 80 機のみと計画していたが、 国防総省の調達責任者ジョン・ヤング次官が 11 月に議会に対し、 追加予算を要求し、初期生産 100 機にも追加改修する意向を伝え ている。 国防総省の高度戦術データリンク構想ではMADLが唯一の非アク セスネットワーク用のデータリンクとなる。B -2 向けにはEHF 衛星通信リンクが加わり、全地球情報網( Global Information Grid )への接続が可能となる。 「現在のところF -22 では追加の双方向データリンクはMADL とIFDL以外には要求を想定していないが、 アーキテクチャの方針決定を準備中で、 追加性能の統合が可能となります。」(ロッキード) コメント:  net centric warfare の中核をなすのがデータリンクですが、この 10 年 で米軍は相当の進歩を実現していますね。F -22 の調達は異例の 少数規模で終わりそうですが、 性能をこ

イランがロシア製SA-20を導入か

AW&ST電子版 12 月 10 日 米政府高官(複数)はイランがロシア製SA -20 長距離SAMシ ステム購入を「契約調印」していると確認。 イランが同システムを稼動させる西側が問題としている同国内核施 設の防衛能力が大幅に向上されることとなる。 「イランはSA -20 購入契約に動いている。 当方にとって今まで経験していない規模の課題に直面する。過去 2 0 年にわたり我方の航空優勢があってこそ安全保障が有効でどこで も自由に作戦を遂行できると感じていたにすぎない。」( 政府高官) アルマズ・アンテイ製SA -20 または S-300PMU1/S- 300PMU2 は非ステルス航空機には大きな脅威となり、 航空戦術ならびに作戦計画そのものの変更を余儀なくされる。SA -20 の有効範囲は 150 キロメートルであり、イランは S- 300PMU-2 型の購入契約を調印している可能性がある。 ロシアはべラルーシを販売経路として利用し、 自国は直接関与していないと主張している。(政府関係者) それでもイラン軍がSA -20 の運用能力を獲得するのには 22 ヶ 月は必要だろう。ただ、 契約内容に要員訓練が含まれる可能性は十分ある。

米海軍:無人機X-47Bで空中給油の実証へ

AW&ST電子版12月8日 ノースロップ・グラマンはX -47 B海軍向け無人戦闘航空実証機 ( UCAS-D )の二号機を改修し、自動空中給油(AAR) を海軍のプローブ・ドローグ式、空軍のブーム・ レセプタクル方式双方で使用可能とする。 米海軍は同社に単独契約を与え、AAR能力の実証を 2013 年ま でに実現する案を発表している。AARが実現するとN - UCAS (海軍版のU-CAS)の 2020 年実現目標である有人機以上の 偵察・攻撃能力を実現し、 敵の対艦弾道ミサイルの射程外から空母が陸上目標対象の作戦を実 施できる。製作中のX -47 Bはいずれも空中給油可能の設計。N - UCAS担当責任者スコット・ ウィンシップは二号機の移動式レセプタクルを利用可能とし、 給油プローブを取り付けるという。 X -47 B各機は空母発進、着艦の実証実験を 2011 年までに実 現する予定。自動空中給油の実証実験はUCAS - Dプログラムの 技術成熟の並列実施として企画。ただ、 海軍が独自で実証実験をするのか、空軍研究開発実験隊( AFRL) の自動化空中給油プログラムと合同で実施するのかは不明。 AFRLは 2011 年予定でブーム・ レセプタクル方式の空中給油をF -16 を無人機と見立てて実施す る。

E-3 AWACSの改修作業が進行中

AW&ST電子版12月3日 NATO運用のAWACS合計 12 機の大規模ミッション・ システムのアップグレード契約がボーイング主導のチームに総額 1 3.2 億ドルの中間近代化計画として交付された。 パートナー兼受託業者であるEADSがAWACS最終機の改修を 予定通り 11 月 3 日に完了した。 ボーイングもNATOのAWACS向けシミュレータ 2 基を中間近 代化仕様で納入している。 中間改修の主眼は新型の状況表示コンソールに以下を組み込んだこ とである。平面ディスプレイとユーザー・ フレンドリーの航法装置、 オープンアーキテクチャのミッション演算装置、 マルチセンサー積分により目標捕捉・識別精度を向上する機能、 また操作員の作業量を軽減するためにデジタル通信装置に衛星経由 で水平線外通信、 広範囲スペクトラムのVHF無線で近年増加中の東欧各国の空・ 陸部隊を支援すること、のほか、 敵味方識別機能の向上版で次世代国際航空交通管制システムとの互 換性あるもの、また、 最新の全地球測位システムを取り入れたものを装備している。 NATOのAWACS部隊以外もボーイングによる改良の恩恵を受 けている。 9 月にボーイングは米空軍のE -3 AWACSのブロッ ク 40/45 機体向けのミッション・ システムの飛行試験を完了した。これは同社によるとE -3 部隊の アップグレードでは最大規模のものという。また、同社は総額 42 百万ドル以内という海外軍事販売契約でサウジアラビア空軍のE - 3 A AWACS 5 機のレーダー改修第一フェーズを受注している。 初期診断でどの部品が老朽化しているかを判断し、 交換部品の試験および改修が実施される。 第二フェーズでノースロップ・ グラマン製のレーダーシステム改良プログラム(RSIP) キットの製作および取り付け、ソフトウェア統合と試験、 乗員訓練が行われる。

ゲーツ国防長官の課題

C -37 A機上にて。 オバマ次期大統領がロバート・ ゲイツ国防長官留任を発表してからわずか数時間後、 同長官は本誌に今後は国防総省の調達制度を整理することに焦点を 当てると語った。 ゲーツ長官は 12 月 1 日の本誌取材でハイテクを利用した米軍に匹 敵する敵に対峙する場合、 より安価な兵器でテロ戦争に立ち向かう場合、 さらに将来は国家ではない敵との対立の場合を想定した軍事力のバ ランスが必要と語った。 予算制約がある中で先例のない水準の各軍の協力が今後の軍事力構 築の構想と規模の設定で必要と言う。 各軍は運用上で交流を実現しているものの、 要求内容と調達業務では直接の合同企画づくりが欠落している。 「 これには各軍の司令部と原隊に加え長官官房の間でこれまではなか った形の協力関係が必要となる。これがこれまで機能していない。 ここが難しいところなのだが、 将来を見据えたある部門のプログラムにより多くの投資をして、 別の軍のプログラムへの出費を減らすと甘んじて受け止められるだ ろうか。」 これが将来の戦術航空機の兵力編成で鍵となる質問である。 例をあげると、ロッキード・マーティンのF -22 生産ラインが閉 鎖寸前となっている。マリエッタ工場(ジョージア州) の運命を左右する決定が三月までに必要と議会関係者は見ている。 その埋め合わせとなりうるのがF -35 だが、何機、 どの型式の同機を購入すべきかという問題がある。F -22 発注を 巡る意見対立はゲーツ長官が空軍参謀長を更迭することで米空軍の トップを入れ替える以前から続いていた。  「新参謀長は空軍にはF -22 が 381 機も必要ないと考えている 。また、 185 機で十分とも考えていない。そうすると、F -22 を追加配備したら、 代わりに共用攻撃戦闘機プログラムを犠牲にできるか、 と言う問題だ。」(同長官) 国防総省が空輸機・ 空中給油機の編成を見据える際にも同じ問いかけが発生する。 ボーイングC -17 の生産ラインも閉鎖が近づいており、 一方でロッキードC -130 JとL -3 コミュニケーションズ - ア レニア・ノースアメリカC -27 Jの追加購入が可能だ。 一方で、ボーイングとノースロップ・グラマン - EADS連合の競 争入札で給油機 179 機を完成さ

F-35を電子攻撃に投入する考え方

AW&ST 電子版 11 月 30 日 米空軍、 海兵隊向けの戦術電子攻撃機の後継機では長年の議論があったが、 F -35 が両軍に採用される可能性が高まってきた。 今日の戦闘で一番需要が高いのが電子攻撃(EA) を任務とする航空機であるのは軍事運用の専門家の一致した意見で ある。そのため、 より多くの機数と性能向上を求める圧力が存在する。 「電子攻撃は空軍、海軍、海兵隊の核心となるミッション領域だ。 電子攻撃が F-35 の中心ミッションとなるだろう。」( F-35 ライトニング II 開発の責任者チャールズ・デイビス少将) ただ、その開発は先例としての空軍のEF -111 レイブンや海軍 のEA -6 Bブラウラー・FA -18 Gグラウラーのアプローチは とらないだろう。 外部ポッドとアンテナアレイによる電子兵装の研究が進行中。 この追加電子兵装開発はF -35 の特徴である機体間のデータ交換 と組み込みずみのEA能力を活用するのが目標という。 「 F-35 は合計 80 もの異なるプラットフォーム間で相互運用を 想定し、 140 種類以上の情報を地上、艦船、 航空機との間で交換できる」(デイビス少将) 電子戦は合計 23 通りのミッションへの追加にすぎない。 「F -35 は第一世代のステルス機F -117 の教訓を生かした設 計だ。F -117 と違うのは戦術情報の共有能力がF -35 では最 初から組み込まれているが、ステルス性を犠牲にしていないこと」 (同少将) ただし、航空宇宙産業界では意見が分かれている。専門家にはF - 35 は電子戦能力が不足し、 機体内にシステムを追加する余裕がないと見る向きもある。 その解決策はジャマーと電力供給を兵装庫内に追加してステルス性 を確保するか、追加装備を外部搭載し、 スタンドオフの電子妨害任務に戻すかであるという。 「一機で電子攻撃任務の全部を実現することはできません。」( 電子戦に長い経験を持つ電子産業界の専門家) EA -18 Gグラウラーは双発で発電機も二基搭載して電力供給も 余裕があり次世代ジャマー(NGJ)を搭載できる。 NGJは長距離のスタンドオフ電子妨害能力があり、 風力発電装置の付いたボッド内に搭載する設計で、 多数の機体に搭載可能だ。

米空軍 代替燃料のフライトテストが進行中

Flight International電子版11月24日 米空軍は天然ガス由来の合成燃料を使用したロッキード・マーチン F-22 の飛行試験を実施した。同様に練習機、輸送機、 戦闘機でも試行する。 F-22 の飛行試験では異常は発見されなかった。また、 F119 エンジンの地上試験をプラットアンドホイットニーのウェスト・ パームビーチ施設(フロリダ州) 実施した際も同じとライトパターソン空軍基地(オハイオ州) の合成燃料型式証明官ジェフ・ブラウンは語る。 ノースロップ T-38 超音速練習機の飛行試験も最近開始され、 ロッキード C-5 輸送機は 12 月 9 日に実証試験飛行を実施予定で あり、 F-16 搭載のジェネラルエレクトリック F110 エンジン による地上試験は 1 月半ばに開始される。 C-5 実証試験はメンフィス州軍基地(テネシー州)から発進し、 「一回目は同機のエンジン一基だけに 50 % 混合燃料で飛行する予定です。 そのあとに二回目の飛行ではエンジン全基に混合燃料を使用します 。」(ブラウン) ロッキード C-130 輸送機、フェアチャイルド A-10 対地上攻 撃機、ノースロップグラマン RQ-4 グローバルホーク無人機、 ジェネラルアトミック MQ-9 リーパー無人機がそのあとにつづく 。「来年夏までに全部飛行させたいですね」(ブラウン) 米空軍は 2011 年目標に全保有機種に合成燃料の使用を型式証明 するのが目標で、 2016 年までに国内で使用する燃料の半分をフ ィッシャー・トロプシュ方式により石炭・ 天然ガス由来の合成燃料にしたいと計画中だ。 空軍は 12 月中に民間パートナーを選出し、フィッシャー・ トロプシュ方式による製造プラントをマルムストローム空軍基地( モンタナ州)内に設置する。

ノルウェーの選択はグリペンNGを退けF-35に

AW&ST電子版11月20日 ノルウェー国防省はロッキードマーチン F-35 を次期主力戦闘機 に選んだ。   F-35 統合攻撃戦闘機にはノルウェーも開発資金を拠出しており 、以前より選択肢のトップであったが、 同国は同時に小規模ながら同機の競争相手サーブ・グリペン NG に も出資していた。 スウェーデン政府の後ろ盾のあるサーブは営業攻勢をかけ、 見返りの多い製作分担提案を持ちかけたのでノルウェー産業界にグ リペン NG を支持する向きもあったのは事実。ユーロファイター・ タイフーンはすでに競合から脱落していた。 「統合攻撃戦闘機は候補機の中で優位性ありと考えられ、 情報処理、偵察能力、空中戦闘、迎撃、 対地上攻撃のいずれでも優れている。」(国防相アンネ・グレタ・ ストリーム・エリクセン) ただ、両候補機ともに採用に値する、と付け加えている。 この決定はサーブには痛い敗北で、ノルウェーをグリペン NG のロ ーンチカスタマーにしようと考えていた。 次の勝負は来年のブラジルで、同社の競争相手はダッソー・ ラファールとボーイング F/A-18E/F 。 「ノルウェー政府の決定は残念かつ驚かされました。 グリペンは運用性能要求を満たし、 価格は定額で明示していたからです。さらに、 広範囲かつ強力な産業協力案も提示していました。」(サーブ CE O  アケ・スウェンセン) ノルウェーは F-16 後継機として選択したため、 ロッキードにとっては大勝利。また、国際競争の激戦市場で F- 35 の初の勝利でもある。なおノルウェーの購入規模は 48 機で、 実戦配備は 2014 年開始が希望。 先週行われた本誌との円卓会議において米空軍チャールズ・ デイビス少将(共用攻撃戦闘機計画の責任者) はノルウェーとデンマークが結局は JSF 採用に回ると予測してい た。 同少将は性能の高さと西側同盟国との間に形成されるユニークな団 結心が F-35 の大きなセールスポイントだと指摘している。「 長い目で見れば同盟国のすべてが採用するだろう」(同少将) コメント:スカンジナビアの人名には疎いため、 上の国防相はじめと刷る人名には表記に誤りのある可能性がありま す。なお、 JSF  は統合打撃戦闘機と訳す向きがあるよ

F-22めぐり国防総省内に意見が対立

AW&ST 電子版 11 月 18 日 ホワイトハウスの主の交代が近づく中、 F-22 ラプターの必要機 数をめぐる意見対立が醜い様相を呈してきた。 国防長官付のスタッフは空軍の企画部門に対し議会スタッフへの発 言を封じ、ゴードン・ イングランド国防副長官および調達責任者ジョン・ ヤングを通した仕事をするように求めた。 議会内部に詳しい情報筋は国防総省は F-22 予算を抑制しており 、今後もそのまま続ける意向という。 これは法案と議会の趣旨に反するが、空軍への懲罰だという。 イングランド副長官は空軍が議会の承認をとりつけ、増産 20 機分 の予算手当に成功したのを苦々しく思っている。これで空軍の F- 22 調達数は 203 機になる。 しかしながら、国防長官官房が認めた予算はわずか 4 機分で、 航空宇宙関係者からこれでは政権交代期間中に同機の生産ラインが 停止となるのを防げないと不満の声が高まっている。 空軍の新参謀長ノートン・ シュワルツ大将は上院軍事委員会委員長カール・レビン上院議員( ミシガン州選出、民主党)に対して予算化ずみの 183 機以外に空 軍が何機の F-22 を必要とするのか近日中に証言する予定。。 参謀長スタッフは 250 から 275 機が適正と進言すると見られ、 これまで空軍が必要としていた 381 機から 100 機以上少ない規 模だ。 250 機あれば 24 機配備の 7 飛行隊あるいは 18 機配備で あれば 10 飛行隊が編成できる。 これに対しヤングは 2010 年度空軍予算には F-22 に振り向け る資金はないと指摘する。議会・国防長官ともに F-22 と C- 17 の生産を維持するための補正予算を希望している。 「ヤングはイングランドの意向に沿った発言をしています。 さらにヤングの周囲にいるスタッフはロッキードと空軍が主張する 数字はランド研究所の F-22 報告書を根拠としているとヤングに 思い込ませていますが、 この報告書は現状を反映していないのです。」( ワシントン在住の政府関係者で、空軍・議会・ 国防総省文官の乱闘の内幕を知る人物) 戦略国際研究センター発表の新しい報告書( 同センターの理事長はジョン・ハムレ、 オバマ政権の国防長官候補といわれる

米陸軍の航空事故損失は合計160億ドル

AW&ST 電子版 11月13日 米陸軍航空部隊の事故および緊急事態による損失合計は過去1 2年間で 162 億ドル相当と、 Aerospace DAILY 紙が陸軍戦闘準備安全センター提供のデータから分析し た。 事故及び緊急事態一件の平均費用は53万 9,281 ドルで、 うち最高は 62.4 百万ドルであった。人員の損失は合計 2, 856 名。 本会計年度になってからは A から C クラスの航空事故合計 7 件の報 告があったと陸軍は発表している。飛行中の事故は3件で、 陸軍の飛行時間実績で見ると10万飛行時間につき 2.385 件の 事故があることになる。 本会計年度の A から C クラスの事故数は昨年度より 65 パーセント 減で、過去三ヵ年平均より 73 パーセント低くなっている。 本会計年度になってからの死亡事故はまだ発生していない。 1986 年よりの累計で陸軍保有機中死亡事故が最多の機体は UH -60 ブラックホークで事故数は 880 件以上。次点は UH-1H ヒューイで 460 件以上。三位はチヌークヘリで、 CH-47D は 250 件以上と同分析は明らかにしている。 費用比較では AH-64 アパッチ各型が一番高価で合計 57 億ドル を事故関連で喪失。次が H-47 各型で 27 億ドルであるのに対し 、 ブラックホークが22億ドルで急速に増えていることが同分析から 判明した。 事故数合計ではヒューイが5千件近くになっている。 アパッチ初期型が 3.3 千件でブラックホークは 2.8 千件であっ た。 コメント: なんとなくアバウトな感じもしますが、 陸軍が直接まとめた事故統計ではなく、 陸軍発表の数字から独自に分析したためどうしても表現が直接的に ならないのでしょう。 それにしても軍事航空には多大な犠牲が伴うものなのですね。 本会計年度とは 2009 年度で10月1日より開始となっています が、 同上分析は11月10日までの40日間のことですので、 ご注意を。

F-22の生産続行に暗雲

米議会は国防総省に対し議会承認済みの1億4千万ドルを使い、ロッキードマーチンF-22Aの生産を次期政権誕生まで続けるよう要請した。 超党派による書簡で下院軍事委員会主要メンバーの署名つきで国防総省が予算を留保しようという動きはラプターの追加購入を「大いに阻害する」ことになると伝えている。 議会は2009年度予算でF-22生産を今後継続するため5億ドルを計上しているが、オバマ次期大統領の政権が3月1日までに同戦闘機調達を再度認証することを求めている。一方、国防総省に対しては合計1億4千万ドルの支出を認め、サプライチェーンを継続して同戦闘機の長期調達の継続を求めている。 サプライチェーンが途絶することを防ぐためにはロッキードに11月27日までに契約書が交付される必要があると上記書簡は注意している。 さらに同書簡は少なくとも1億4千万ドルのうち4千万ドルがあれば仮にオバマ政権がF-22購入をストップする決断をしたとしても、F-22AあるいはF-35統合攻撃戦闘機に有効に使えると記述。「この金額は契約成立に必要なアクションの完了に必要だ」としている。 米空軍は合計185機のF-22を発注しており、うち、2機を喪失しているが、必要数は381機であると説明している。新空軍参謀長シュワーツ大将は7月に議会に対して空軍が必要とするのは183機以上であるが、381機は過大であろうと発言している。同大将はかわりにF-35購入を促進し、戦闘機の不足を補いたいと考えている。 一方で国防総省内には少なくとも4機のF-22を戦時補正予算の一部として購入する案を検討していると同書簡は明らかにしている。議員の一部には少なくとも一年間延長して20機のフル生産を維持する案を支持する動きもある。(Flight International電子版11月7日より) コメント: F-22の生産終了が視野に入ってきたというところでしょうか。一時は日本のF-X候補にもあがっていたものの頓挫しており、生産維持のためには日本はじめとする同盟国向け需要をたてにつかう政治的判断もありかと思われていましたが、新政権の判断が注目されるところです。共和党政権であれば、と残念な結果になることもありうるでしょう。逆に航空自衛隊にF-35導入の可能性がいっそう高くなるということでしょうか。それにしてもF-1

レッドフラッグ演習後の米空軍コメント

AW&ST電子版11月5日 Su-30MKI を操縦するインド空軍パイロットはプロだが、 まだ機体性能をフルに生かした空戦の勉強中と言うところだ。 というのが、名前を伏せたあるF -15 パイロットが直近のレッド フラッグ演習について空軍高官むけにおこなったブリーフィングで の発言内容だ。このビデオが YouTube.com で見ることが できる。 新鋭ダッソー・ ラファールを駆るフランスのパイロットがインド空軍機の電子声紋 を収集していいたようだと上の米空軍のパイロットは語っている。 このパイロットは空軍武器学校のパッチをつけている。 フランスは当初ミラージュ 2000-5 を参加させる予定であった が、インドが Su-30MKI を持ち込むと知り、 高性能の電子偵察装備を搭載したラファールに切り替えたと同パイ ロットが話している。、 レッドフラッグでは「 9 割の時間をインド機の追跡に割り当てて、 模擬空戦をしていた」という。また、 フランスのパイロットは砂漠の嵐作戦やその後の平和維持行動でも 同じ対応をしており、 米軍機の電子作戦能力の作動状態を知るため情報を収集していたと いう。 同パイロットはインド空軍パイロットを賞賛し訓練規則の違反はま ったくなかったと語る。しかし、「友軍を多く撃墜した」 のはロシア製のデータリンクを使ったため、 他の参加機に共通して利用可能な戦闘空域の全体図が見られなかっ たためだという。 他の型式の機体の戦闘識別ができなかったことも混乱の原因となっ た。 米国もSu -30 MKIのレーダー性能に関心を示した。 Su- 30 の電子スキャンレーダーは米国製のアクティブ電子スキャンレ ーダー(F -22 と一部のF -15 に搭載)の精度に劣る。また、 探査範囲、判別範囲が少なく、識別能力も劣る。 F -22 を次世代のドッグファイト戦闘機として評価するが、 同機が搭載するミサイルが少ないことと機内搭載の機関砲がインド 空軍が運用するMig -21 バイソンのような敵機には有効だと語 る。F -22 のレーダー断面積は小さく、空戦開始まで、 あるいはアーチャーミサイルを発射するまではF -15 CやF - 16 のレーダーではほとんど写らないほどだという。 Su-30MKI の

次期大統領は防衛産業にどう影響するのか

Aviation Week & Space Technology 電子版11月4日付け記事より 次期アメリカ大統領は、陸上兵力を増強し、無人機・輸送機、給油機を増強したいと抱負を語り、「実用的かつ費用対効果の高い」ミサイル防衛案を支持する。また、上院議員としてブッシュ政権の八年間で記録的な水準に増加した国防支出にもイラク侵攻にも反対してきた。 同時投票の上下両院選挙では民主党が優勢で、軍事委員会、国防歳出委員会の両方で議事運営が思い通りになる。 オバマの国防上の公約は「まず人員」であり、イラク国内の戦闘作戦をこれから数年間のうちに終結させるというもの。州兵部隊、予備役を強化する考えで、合衆国の国益の海外での拡大には外交努力を優先させる。航空宇宙産業、防衛産業に聞き捨てならないのはいわゆる産軍複合体に言うことを聞かせるぞと公言していることである。リベラル派には産軍複合体は長く不快の種。 オバマ政権は「CEOより先に兵員を配備し、軍事アウトソーシングに制限をかけ、国防契約業務と予算管理に公明正大かつ経済的常識を回復させる」であろう。 オバマは選挙運動において「募集低迷と兵役延長の減少で志願制兵力の根本が危険にさらされている」と分析し、「この点でブッシュ大統領はベトナム戦争終結時と同じ誤りを繰り返し、軍の空白化を招いている。オバマ政権は軍を再建していく。」と言及。 オバマの信条とバイデン上院議員の考え方をあわせると、人員を先に考える傾向が見えてくるものの、民主党は米軍に最高の装備と技術を配備する意向を示している。ただし、オバマは高性能の戦闘機、攻撃機の開発よりも平凡ながら世界規模で作戦を展開するために必要な装備開発を優先するだろう。 「わが国は他に追随を許さない航空力を維持し、通常兵器によるいかなる対抗勢力も抑止し敗北させなければならない。迅速に世界のいかなる場所における危機に対応しなければならない。また、わが国の陸上兵力を維持しなければならない。」(オバマ) .「冷戦期の設計によるシステムは現在と将来の課題に答えるものにとりかえなければならない。高度な技術により広範な投資が必要だ。無人機、電子戦力からC-17やKC-X空中給油機のようなシステムまで。政治家には魅力的に写らないかもしれないが、地球規模での展開を決定付ける重要な要素がこれらの機体だ。」(オバマ選挙対

次期空中給油機の選定は価格見積もり合わせへ

AW&ST電子版10月31日 次期大統領は米空軍が切望する次期空中給油機の購入に理解を示す だろうが、本案件は総額 350 億ドルの政治問題の嵐のさなかに投 げられている。 ペンタゴンの購入部門責任者ジョン・ヤングはKC - Xの精査の新 しい方針を内部検討した。 新方針には二段階あり、最初にボーイング、ノースロップ・ グラマン=EADS両社案はKC - Xの燃料等裁量、航続距離、 貨物・兵員輸送量他の要求内容を共に満足しているので、共に「 技術適合」と判定する。だが、ことを複雑にするのが 800 点近く ある小規模な要求内容で当初の選定では重要視されていなかった内 容をどう評価するかである。 そこで第二段階では全体購入予定179機のうち最初の 68 機につ いて再度かつ最終の見積もり価格を両社に求める。 見積もり合わせの勝者は費用総合計結果により決定する。 以前に提示済みのノースロップの開発経費および初期納入機体費用 の総合計は 125 億ドルで、ボーイングは 154 億ドルであった。 ヤングはペンタゴンが手を出せない領域があるためライフサイクル コストは厄介だという。たとえば、 原油価格が最近大きく下がったが、 これで両社のライフサイクルコストも減った。しかし、 両社案の燃料効率は異なっており、 将来の原油価格を推定することも困難なため、 価格評価で一番単純なのは開発関連と初期購入機の直接費用を比較 することという。 それでも議員の中には両社の機体を採用し、 調達も半分ずつとする考えを支持する向きもある。これに対し、 空軍関係者は両社案を同時採用する予算はないと繰り返し発言して いる。さらに、両案の同時購入は空中給油機を合計 5 機種も同時に 運用することになる。KC -135 部隊が最多で退役も一番早いも のの、KC -130 、KC -10 に加え、 新機種二つが加わることになる。 「同時採用は納税者にも国にも非常にまずい決定ですね。」 とヤングが話すのもこの背景があるためだ。 他方、ヤングは合同評価チームを新設し、 各軍での購入先選定に適用可能な共通方法論の確立をめざしている 。連邦調達規程では一般論としての対応策を示しているが、 今日の複雑な調達に関しては明確な規定がないのが

米海軍 統合スタンドオフ兵器の開発状況

お知らせ: こちらの新設ブログは軍用機、防衛産業、関連技術開発を中心に扱うことにします。空港の第二ターミナルといったところですね。 AW&ST電子版10月31日 米海軍はレイセオン製の統合スタンドオフ兵器(JSOW) であるC -1 の設計検討結果に満足しているが、 既存装備にデータリンクを付加することで課題を実現できるとの意 見が開発責任者から出ている。 C -1 改良型は既存JSOWと同じ外形と機体でロックウェル・ コリンズ製のデータリンクを付加し、 投下中に目標データの更新が可能。また、 追尾装置のアルゴリズムを書き換えて海上目標に最適化している。  「既存装備に真のデータリンクが付いたのは初めてです」( メリーランド州パタクセント航空基地のJSOW計画責任者 マット・ウィンター海軍大佐) 重量は同じで飛行特性には技術的な差異はほとんど生じさせていな い。 対照的にデータリンクを艦上発射のトマホークミサイルに装着した 際には技術者は白紙状態から作業を開始した。 一方、レイセオンは動力付のJSOW開発中で、 既存装備に小型空中発射型目標(MALD) のエンジンをとりつける。 長距離兵器で海上目標を破壊したい海軍の要求が今後具体化する際 のオプションのひとつとなる。 ロッキード・マーチンも長距離空対地スタンドオフミサイル( JASSM - ER)を海上目標に特化した改良型を開発中。 さらにコングスバーグ防衛航空宇宙は同社がノルウェー海軍向けに 開発した海軍用攻撃ミサイルを提案。 ボーイングも射程距離延長版のスタンドオフ陸上攻撃ミサイル( SLAM - ER)の改良型構想を検討中。 ただし水上目標への精密兵器投入の再検討で各社競合が実現するの は 2012 年から2014年の予算の可能性だろうとウィンターは 語る。 SLAM - ERとハープーンが現在利用可能な装備だが、 2025 年までには両方とも耐用年数を超える見込み。(ウィンター) さらに移動陸上目標用に、 海軍はロッキードのペイブウェイII用に改良したGPSを応用し た陸海両用レーザー誘導爆弾があり、その初期作戦能力獲得を来月早々に実現 するとウィンターは語る。まず海兵隊のAV -8 Bハリヤー部隊に 装備のあと、F / A -18 への装備

難航するA400Mに助け舟を出すフランス

フランス政府は計画が遅れているA -400 Mプロジェクトについ て関係各国政府が救済策を求める会社側の要望を受け入れるか打診 することで合意した。 エルベ・ モラン国防相はフランス空軍幕僚長および国防装備調達庁( DGA)に本件の協議を依頼したと発言。 空軍は同プロジェクトの救済策、 諸元で実施の余地があるかを検討し、国防相は支援を言及。 DGAは共同開発国がエアバス・ ミリタリーに対する課徴金請求を取り下げる可能性があるかを調べ る。 にもかかわらず、 モランは開発計画の日程とくに機体の引渡しに鉄壁の保証を与える 条件をメーカー側につけるものと説明する。ドイツはA 400 Mの もう一方の主要顧客だが、救援策には否定的。 A 400 Mの開発日程の遅れにより、 フランスは対応策を迫られることになりそうだ。