新型レーダーがステルス性を無効にできる問題は以前もお知らせしていましたが、実態はかなり深刻なようです。F-35の開発配備が進まない間に対抗手段はその先を行きそうで、F-35の「ステルス性」は史上最大の誇大表示になってしまうのかもしれません。
Chinese and Russian Radars On Track To See Through U.S. Stealth
By: Dave Majumdar
Published: July 29, 2014 11:01 AM
Updated: July 29, 2014 11:06 AM
ロシアと中国が開発中の新型レーダーで米国のステルス戦闘機の探知だけでなく目標捕捉が容易になる可能性が高まっていると米海軍高官(退役ずみ)が USNI News に語っている。
- ロッキード・マーティンF-22ラプターとF-35ライトニングIIは高周波目標照準用レーダーに特化したステルス性能があるが、低周波レーダーにはステルス性が発揮できない。
- これまで高周波数帯への対応だけでさして問題ではなかった。なぜなら低周波レーダーは「兵器級追尾」はできないとされてきたからだ。
- F-22やF-35はKu,X,Cバンドと一部Sバンドといった高周波への防御がなされているが、両機種とも波長が長いL、UHFやVHFを使うレーダーだと発見される。
- いいかえればロシアと中国の現行レーダーはステルス機を探知することができるが、正確な位置を割り出してミサイル誘導をすることは困難だということになる。
- 「捕捉・火器管制レーダーが周波数帯を変える傾向にある」と元米海軍高官がUSNI Newsに説明している。
- またコンピューターの性能向上で低周波数レーダーは目標の識別能力が正確になってきている。
- 「2020年あるいは2030年にこういった装備が実用化されたら機体の生存性は危うくなる。だから低周波対策が必要だ」と先の専門家は指摘する。さらに一部の建造中海外艦艇には高周波低周波双方のレーダーが装備されている、とも指摘。
- 中国のタイプ52C旅洋IILuyang IIや52D旅洋III駆逐艦にがその例であるという。
人民解放軍海軍の誘導ミサイル駆逐艦タイ52D旅洋IIIの長沙Changshaには米ステルス機を探知可能なレーダー装備が施されているといわれる。
- では海軍自慢のNIFC-CA海軍火器管制対空対応手段はどうかというと、あまり期待できない。第一に低周波レーダーが普及するとF-35Cが生存できるのかと言う深刻な疑問が出てくる、とし、先の専門家は「全方位ステルスがネットワーク型対空体制に対しては望ましい」と言う。
- 二番目に中国とロシアがNICA-CAに対抗しサイバー攻撃、電子攻撃を仕掛けるのは確実だという。NICA-CAの基盤はデータリンクである。「データリンクが厳しい環境の下で作動するか疑問です。ジャミングが大量に発生しているはずです」
- さらに敵になる可能性のある国家である中国とロシアは長距離放射線追尾型ミサイルを開発中で、NIFC-CAの中枢部分となるノースロップ・グラマンE-2D高性能ホークアイが目標となる可能性が高い。
- 「放射線追尾型兵器がパッシブ動作で長距離射程ならNIFC-CA構想では対応が難しくなる」と言う。
- 空母に全方位ステルス性能を有する機材が配備されないことで高性能版のUCLASS(艦載無人偵察攻撃機)で敵の防空網に対処すべきとの主張が勢いがますことになりそうだ。この機能がないままだと海軍の空母航空戦力は実効力を失うとこの専門家は見る。■
コメント しかし肝心のUCLASSについては最初から高度の脅威環境での単独使用はあきらめている節がありますので、この「高官」の意図はUCLASS構想の大幅な上方修正にあるのではないでしょうか。
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